甲府城（こうふじょう、別名舞鶴城）- 浅野長政が徳川氏に備えるために築城

甲府城は、別名舞鶴城とも呼ばれ本能寺の変後に徳川家康が甲斐を支配した際に、甲斐の政務拠点を武田氏の躑躅ヶ崎館から移転したことから始まります。

豊臣秀吉の後北条討伐の後に、甲斐を支配していた徳川氏が後北条氏の旧領に移封になった後、豊臣氏の一門の大名が甲斐を支配している際に、関東の徳川氏を牽制する意味もあり、甲府城の築城が進み浅野長政・幸長の頃に、甲府城の縄張りは完成したと考えられています。

江戸時代の甲府城は、江戸西側の防御要衝の拠点として一時期を除き幕府直轄領とされていました。

幕末の戊辰戦争では、板垣退助率いる新政府軍と新選組を中心とした幕府軍が甲府城を巡って争奪戦が起こっていますが、甲府城では直接の戦闘は行われていません。

平成31年に国指定史跡とされて、現在は、舞鶴城公園として開放されています。

令和3年4月のニュースで、甲府城の石垣の石にアニメ「鬼滅の刃」の技の名前「水の呼吸」や「ねこ」「きぬた」など11か所に硬いもので削った落書きが見つかったと報じられています。

甲府城跡（舞鶴城公園）の見どころ

明治維新後の廃城令で、櫓・門などの構築物が破却されたり、中央線の甲府駅設置のために、いくつかの曲輪を取り壊し、整備開発されました。

二の丸・三の丸はさ開発のために市街地になっていますが、本丸を中心にしたいくつかの曲輪や野面積みの石垣・水堀が現存しています。
平成に入ったころから、稲荷櫓・鉄門などの建築物が復元されていています。

・稲荷櫓（いなりやぐら）

甲府城の鬼門（北東）に位置する櫓で、江戸時代には武器庫として使用されていたことが分っています。
石垣などの遺構や江戸時代の絵図などを参考にして、できるだけ往時の姿に復元されました。平成16年に復元工事が完成しています。
稲荷櫓には、百名城のスタンプが設置されています。

櫓の外観：二階層入母屋造り
櫓の規模：南北五間（10m）東西六間（12m）

・鉄門（くろがねもん）

鉄門は、本丸南側に位置する二層の渡櫓門です。
渡櫓門とは、門の上に長屋状の建物（櫓）を渡すように建てれたもので、鉄門は、1階東側に番所が設置されています。
鉄門の創建は、礎石や江戸期の絵図などから築城当時から存在していたようです。

享保12年に起きた甲府大火でも焼失を免れましたが、明治初期の廃城令により、破却されました。
平成24年に復元工事が完成しています。

・天守台

城のシンボルでもある天守閣が建てられる場所です。
通常は、城の最も高い場所にあるケースが多く甲府城の天守台も最も高い場所にあります。
天守閣は、幕末にはすでになく享保12年の甲府大火で焼失したされています。
元々天守閣が無かったという説が一部にはあるようです。

天守台に登ると、甲府の街並が一望できます。

他にも、内松蔭門・鍛冶曲輪門・稲荷曲輪門が舞鶴城公園内に復元されています。
JR中央線を渡った北側には、枡形虎口門の山手御門も再建されています。

戊辰戦争での甲府城をめぐる戦い

甲府城は、戊辰戦争時に新政府軍と幕府軍の間で争奪戦が起きています。
幕府は、新選組を中心とした約300名を甲府城に入って江戸に進軍する新政府軍を迎え撃つように命じました。
新選組の近藤勇は大久保大和、土方歳三は内藤隼人に変名して、江戸を出立しました。
幕府から戦費として現在価値で5億円相当である5000両を携えていたためか、甲府に向かう道中は飲めや歌えの宴会ばかりをしていたため甲府城は新政府軍側の板垣退助に占領されてしまいます。
当初は、大砲6門を装備していましたが峠越えに窮したため4門を放棄し、甲斐に到着したときには、大砲は2問だけとなっていました。

新選組は、大河ドラマでジャニーズのアイドルが演じたりして高潔なイメージがありますが実際はならず者の集まりに近かったようですね。

両軍は、甲府城から東側にある勝沼で激突しましたが、幕府側は大砲を活かしきれなかったり、敗走兵が後を絶たなかったりであっさりと敗れています。

甲府城のスタンプ・御城印